PL 18-19 第7節 vs チェルシー

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はじめに

互いにリーグ戦無敗で迎えた第7節。カラバオ杯での前哨戦はリバプールが先制するも、アザールのスーペルゴラッソで逆転負け。ホームでの無敗記録が途絶え、アウェーの第2ラウンドに挑むことになった。

スタメンを見ると両チーム共にほぼベストメンバーを揃えた。紛れもなく今期を占う一戦だと予感させるメンツだ。

 

一撃

試合は序盤から互いのリソースで殴り合う様相となる。サッリといえば言わずもがなのボール保持主義者。チェルシーも完全にその色に染まっていた。ジョルジーニョを中心として、丁寧なビルドアップからの攻撃を志向するチェルシーチェルシーのボール保持に対するリバプールの対応は下の図の通り。

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サッリチェルシーの心臓であるジョルジーニョ。基本はジョルジーニョ+ CB2枚でビルドアップを始める。ヘンドはその心臓へマンマーク。前線3枚は、相手CBと片方SBに張り付き、もう片方のSBは根性の縦スライドで対応。ボビーが CBからジョルジーニョへのパスコースを切る。リバプールらしい前プレである。

これに対するチェルシーの反応は、ケパ+ CB2枚でビルドアップ→ケパからSBへロングボール、あるいはCBからのライン裏へのロングフィードであった。その中でも恐ろしかったのはルイスからのロングフィードリバプールのプレスの構造上、ボールと逆サイドのSB裏はCBとのサイドアタッカーの1対1となることが多い(図だとアーノルドの裏)。そこに正確無比に蹴り込み、ウィリアン、アザールが走り込めば、 CBは難しい対応を求められ、言わずもがなの大ピンチである。実際にウィリアンの裏抜けで絶好機を作るチェルシー。しかし、ギリギリでアリソンとCB2人でカバーリングしてしまうリバプールも流石の対応を見せる。

ヘンドのマンマークとボビーのコース切りでジョルジーニョを試合から消そうとするリバプール。思い描くようなビルドアップが出来ず、ロングフィードで活路を見出すチェルシー。どちらかと言えばリバプールの狙い通りにゲームは進んでいただろう。しかし、中盤で一瞬の隙を突かれる。アザールの落としからジョルジーニョコバチッチと繋がれ、アザールに食いついたアーノルドの裏を取られて失点。ポストプレーからフィニッシュまで、個のクオリティが凝縮されたゴールは、クロップとピッチ上の11人に叩きつけられた無慈悲な一撃だった。

 

届かないゴール

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リバプールのボール保持は最近お馴染みとなったIHがサイドバックのスペースへ落ちて CB2枚と3バックを作る形だ(この形に名前が欲しい)。

この形だと守備側はアンカー脇、ハーフスペースへの侵入をどう対処するかという問題を突きつけられるが、この試合では、チェルシーのボールを持ちたい!という意識が強く、特に序盤はカンテとコバチッチが前に出てIHへプレッシャーをかけることが多かった。カンテとコバチッチは、時にはCB、GKまでプレスを掛けるがリバプールは動じず、ビルドアップの出口にアーノルドを見つける。ウィリアン、カンテに比べると守備の際のポジションがやや危ういアザールコバチッチ。ダイクからのロングボールやジニ、ミルナー、ヘンドからの繋ぎでアーノルドが受けて、ハーフスペースないしライン裏、ゴール前のサラー、ボビー、マネという形からチャンスを多く作った。ただし決めきれないリバプール。失点後はチェルシーがウィリアンとアザールの位置を入れ替えて守備の修正を図ったこともあり、さらに攻めあぐねるのであった。尚、前プレかけつつハーフスペースのカバーもしちゃうカンテは異常。

 

幕切れ

後半に入ると暫くして、自陣撤退モードになるチェルシー。自陣のミスからリバプール得意のトランジションで追いつかれるよりは、攻め疲れのカウンターを狙ったのだろう。実際に反撃要員としてジルーとアザールを残し、トドメを刺すには十分すぎるカウンターの鋭さであった。そして退くと決めたら非常に固い。押し込む展開となり、リバプールシャキリ、ケイタとボールを持って輝くプレイヤーを登場させていく。

チェルシーは素早いリスタート(?)からアザールが抜け出すもアリソンが意地のストップ。そして、リバプールシャキリとボビーが決定機を手にするも、いずれもゴールを割れない。

しかし残り1分。完全にチェルシーの守備ブロックの外でボールを受けて、ゴールを一瞥。迷わず振り切った左足でチームを救った男は、4分前に最後のカードとして送り出されていたスタリッジジョルジーニョが膝から崩れ落ちた姿が印象的だった。そして、そのままスコアは動かず。試合は1-1で終了。指揮官を含めて、互いのチームが笑顔で讃えあう幕切れとなった。

 

おわりに

リバプールファンという贔屓目無しに、サッカーファンとして面白すぎる一戦だった。互いに相手のストロングポイントを消し合う形になったが、プランBでも殴れるよという底力のぶつかり合い。特に互いのGK、CBが瀬戸際でゴールを割らせなかったことで均衡した試合になったと思う。しかし、その拮抗した試合でスコアを動かすのは類稀な個の力。サッカーの魅力が詰まった試合。この試合の中で語りたいポイントはいくつもあるのだけど、それはまた箇条書きで纏めます。次はCLナポリ戦。リバプール地獄のデスロードはあと2試合!また八塚さんだよー!笑